僕はもちろん今まで書評など書いたことは無く、誰に向けての記事なのかも分からないまま書いているのだけど、「未必のマクベス」は良かった。この本に出会えて良かった。
帯のコメントに、おすすめの理由が凝縮されていたのでそちらを引用させていただきます。完全に同意です。
「高校時代にちょっと気になる女の子がいて、特になにかあったわけではないのだが、それからも折に触れて彼女を想い出す――そういう経験のある中年男性に本書をすすめたい。あるいは企業の第一線で仕事をしながらも、特に将来を考えず、恋人がいても結婚を夢見ず、そして友人のいない中年男性に本書をすすめたい」
主人公たちは30代後半なので、そこから若干年齢の進んだ40代以降の男性がメインターゲットでしょうか。ハードボイルド小説ですし、人生経験を積んできたオジサンの方が物語に入り易いかも。
物語後半の、優一とある人物との食事のシーンで流れている中国の女性ジャズシンガーBei Xuのアルバム。優一のリクエストで店員にCDを掛けてもらい二人で聴いているのだけど、自分もこの本を読み終えてからその跡をなぞるように聴いて、そのシーンにこっそり同席できた気分で涙。ああ、あの時君たちはこの曲を二人で聴いていたんだな。どうしてこんなに素敵で、切ないんだろう。よかったな、優一・・・涙。
「よかったな、優一」。僕はこの本を読んだ後、物語には登場しない、優一の数少ない友人の一人になったつもりで優一の背中にそう声をかけて、また泣きました。

- アーティスト: ベイ・シュー,塩田哲嗣,サイラス・チェスナット,ハーリン・ライリー,マサ清水
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2007/01/24
- メディア: CD
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